■Angelsyndrome×悪魔症候群■ハロウィン■サリエル×ゼルク(サリエル+バラキエル)■
※「Angelsyndrome」サリエル×ゼルク前提のお話。
サリエルが他の天使に少々手を出してます。

サリエル視点。


 いつものように森へと向かい、使い魔を放す。
 遊びに出掛ける使い魔の背を見送り付近を歩いていると、すぐさま異様な光景が目に入った。
 ああ、これは関わらない方がいい。
 そう思う俺の気持ちとは裏腹に、相手も俺を見つけてしまう。
「あ、サリエルだ」
 名前を呼ばれたら、さすがにスルー出来ない。
「はいはい。なぁにやってんだ、お前は」
 頭には悪魔の角。
 背には悪魔の羽。
 ……けれども、こいつが天使なのを俺はよく知っている。
「バラキエル」
「今日はハロウィンでしょ」
 それで、悪魔のコスプレをしているということだろう。
 最も、ここじゃ普段から悪魔なんてゴロゴロいるけれど。
「サリエル、知ってる? ハロウィンはオバケが来る日なんだよ」
「そうだな」
「仲間と思わせて、イタズラされないためにオバケの格好するわけだろ。俺は、悪魔に仲間と思われたいからこの格好にしたってわけ」
「お前、普段から悪魔ぶってんだろ」
 バラキエルの背に生える翼は、本来真っ白の物。
 それをこいつはいつも黒く染めていた。
 悪魔の羽と似たものになるように。
「今日はより一層悪魔になってみてんだよ。角とか」
 まあ普段からここまでしてたら、さすがに叩かれかねないだろう。
 こいつの悪魔好きは異常だと感じる。
 もうこの場所で、異常とか正常とか考えることもバカらしいけれど。
「似合ってるよ」
「ありがとう」
「じゃあ、俺はもう行くから。悪魔に遊んで貰えるといいな」
 適当に話を終わらせようとするが、バラキエルは俺の服をぎゅっと掴む。
「元々のハロウィンの由来とか、どうでもいいからさぁ。サリエル。トリックオアトリート」
 振り向くと、バラキエルはペロリと舌なめずりをする。
 しょうがなく、俺はポケットからお菓子を取りだした。
「ほら。菓子」
「えー、なんでお菓子持ってんだよ」
「想定外?」
「普通、持ってないからねぇ」
「そんなに俺にイタズラしたかったのかよ。残念だったな」
 バラキエルはうーんと悩む素振りを見せ、俺の手を取り、ポケットに菓子をしまわせる。
「サリエル。俺に、お菓子かイタズラか選ばせて?」
 やっぱり、めんどくさい提案だ。
「はぁ……」
 俺は小さくため息を吐く。
「ねぇ、お菓子いらないから、俺にイタズラしてよ」
「違わねぇ? 普通、菓子無かったら俺がイタズラされるんだろ」
「普通とか、考えるだけ無駄だってわかってるくせに」
 地面へと座り込み、長い前髪の隙間から俺をじっと見上げる。
 本気の目だ。
 普段、見せてないだけに、その視線に捉われると、なんだか逃げづらい。
 俺は、そっとバラキエルの髪に触れる。
 やわらかくて、ふわふわしていて。
 元々は白に近い綺麗なクリーム色。
 なんでわざわざ黒にするんだとか、俺が口出すことじゃないけれど、少し惜しいような気がしてしまう。
「……後で泣くなよ」
 俺は剣を抜き、バラキエルの髪を少しだけ切り落とす。
「あ……」
「隠すなよ」
 こいつは目でものを語る。
 目を隠して、心を隠す。
 俺はしゃがみこみ、バラキエルと視線を合わせた。
「翼出せ」
「……なんで」
「いいから。出せって」
 強めに言うと、バラキエルはしぶしぶその背に翼を広げる。
 本物の、天使の翼だ。
 やっぱり中途半端に黒に染めてはいるものの、白い部分は残っていた。
 そこから1本、長めの羽を抜き取る。
「っ……なに?」
 俺が少し体を離すとすぐさまバラキエルはもう一度、翼を隠した。
「綺麗な白だよなぁ。バラキエルの羽」
 わかりやすくバラキエルの表情が歪む。
 いつもなら隠せていた瞳が、不快の色を示す。
「誘ったのはバラキエルだろ」
「……そうだけどぉ」
「刺したり踏んだり、望まれるがままの苛め方するとでも思った?」
 服を裂き胸元を晒させる。
 バラキエルが大嫌いな白い羽で肌を撫でてやると、逃げるよう体を震わせた。
「んっ……こういうの、やだ」
「わかってる」
 乳首を柔らかい毛で何度もくすぐっていく。
 いくらそれが嫌いな羽であったとしても、エロいことが大好きなバラキエルの体は、徐々に熱を帯びていった。
「完全に勃起してんな。こっちも、この羽で撫でてやろうか」
「手でしてよ」
 俺は、バラキエルの言い分を無視し、羽で先端を蜜を拭う。
「ぁ……ん、んっ」
「すごいな。どんどん溢れて来やがる」
 腰が浮きはじめ、バラキエルがすがるよう俺の腕を掴んだ。
「ん、じれったい」
「わかってる」
「やだ……はやく……」
「別に、俺はお前を甘やかしたいわけじゃねぇしな」
「サリエル……」
「俺もお前の嫌いな天使だし」
「っ……そうだけど」
 心を読ませたくないのか、バラキエルは目を伏せる。
 俺は、羽の根本をバラキエルの鈴口にあて、ゆっくり押し込んだ。
「あっ……ぁっ……んぅっ」
「自分の羽、感じる?」
 バラキエルは首を横に振るが、感じているのは明らかで、ビクビクと体を震わせ、背中から翼を出す。
「あっ……はぁっ!」
「翼、もう隠せねぇの?」
 たぶん、普段のこいつならセックスしてでも隠せるだろう。
 それくらい、なぜだか今は感情が昂っているようだ。
「サリエルっ……ん、ん、それ……やだっ」
「知ってる」
 バラキエルが大嫌いな自分の羽。
 その羽で、気持ちよくなるだなんて、不愉快極まりないだろう。
 尿道の中、奥へと羽を差し込んで、掻き回すとぐちゅぐちゅいやらしい音が響く。
「やっ……んっ……んっ!」
「いきそう?」
「はぁ、やっ……んーっ! んぅん!」
 バラキエルの体が大きく跳ね上がり、羽の隙間からどぷりと白濁の液が漏れて来た。
「ふっ。天使の羽、大好きだな」
「っ……違うよ」
「こんなに早くイっちゃったのに?」
「ん……尿道が好きなだけで、羽が好きなんじゃない」
 さすがに小さく笑ってしまう。
 俺は手を伸ばしバラキエルの背中の翼を撫でてやった。
「んっ……んぅ」
「気持ちいいくせに」
「よくない。いらないよ……こんな羽」
「それは言うな」
「ん…………」
「お前が悪魔を好きで、天使を嫌ってもいいから。この翼は残しとけ」
 バラキエルが、微かに頷いたように見えた。
「よし」
「……頭のいい天使は嫌いじゃないよ」
「お前より頭のいいやつなんて、そうそういねぇよ」
 俺は、入ったままだった天使の羽をバラキエルから抜いてやる。
「悪いな。バラキエル。そろそろ行くわ」
「やっぱり」
「……やっぱり?」
「俺のことは、刺してくれないんだなぁって」
 バラキエルは、立ち上がる俺を見上げにやりと笑う。
 まるでこうなることがわかっていたように。
「間違って欲情したら困るだろ」
「すればいいよ」
「……お前だって、本当は悪魔に犯されたいくせに」
「でも、こんな風に髪切られちゃったらさぁ、他の人とセックス出来ないよ」
「出来るだろ。なんなら後ろから犯して貰えよ」
 ひらひらと手を振り、バラキエルと別れる。
 夜が更けるころには、悪魔が通りがかるだろう。
 そんなことを思いながら、俺は自分の部屋へと戻った。



「あ、サリエル。おかえり」
「…………ゼルク?」
 誰もいないと思っていた自分の部屋には、なぜかゼルクがいて俺は一瞬言葉を失う。
「なんだ。今日はネルと遊ぶんじゃなかったのか?」
「遊んだよ。もう遊び終った。夜は……ここに泊まってもいいだろ」
 恥ずかしいのか、ゼルクの目が泳ぐ。
「まあいいけど。なに? 珍しいな」
「だって、今日はその……ハロウィンだし」
「ああ、苛められに来たのか?」
「ち、違う。菓子貰いに来ただけ」
「はいはい」
 菓子貰いに来ただけで、泊まるってのはどういうつもりなのか。
 ここはあえて突っ込まないでおく。
「ホントだからな。俺は菓子ないけど、サリエルがくれる係だし」
 俺はゼルクの腕を引き、後ろからその体を抱きしめベッドに腰かける。
「苛めていい?」
「ダメだって。なに聞いてんだよ。サリエルは菓子くれる側だっつってんだろ」
「じゃ、少しだけ刺していい?」
「それもダメ……ん、んぅっ! 人の話聞けよ」
 俺はゼルクの言葉を無視し、手にしたナイフで胸元に線を引く。
「もうっ!」
 バタバタと暴れるゼルクを片腕で抱き、首筋に顔を埋め、軽く噛みついてやる。
「いっ……ぅうっ」
「溜まってんだよなぁ、誰か苛めたくてしょうがねぇ気分なんだよ」
「っ……誰でもいいのかよ」
「誰でもいいわけないだろ」
 少しだけゼルクの暴れる力が緩む。
 その隙に、ナイフの先を押し入れ軽く掻き回すと、どぷりと温かいゼルクの血が溢れ、俺の手に絡みついた。
「うっ……やだ……あっ」
「そろそろ慣れろよ。すっげぇ音」
「あっ……音、立てんなってっ。んーっ」
「力入れると、余計溢れんぞ?」
「やっ。はぁ……サリエルこそ、そろそろ飽きろよ」
「飽きるわけねぇだろ」
 ナイフを引き抜いて、代わりに指を刺し込んでいく。
 ゼルクの体内が温かくうねりながら、ビクビクと脈打ってくれた。
「しよっか、ゼルク」
「なんで、この状態で欲情出来んだよっ」
「ゼルクだって、もう熱くなってんだろ」
 空いた手をズボンの中へと差し込む。
 ゼルクのソコもまた熱を孕み、背に生やした翼はビクビクと震えている。
「あっ……ん、んぅ」
「この状況で、よくすぐ勃起出来るよなぁ?」
「うぅっ……あっ、サリエルのせいだしっ」
「俺のせいじゃなきゃ、嫉妬するとこだった」
 熱いゼルクの体液を纏った手で、音を立てながら熱を煽っていく。
「はぁっ、あっ……んぅ……」
「……やる気出て来た?」
「っ……ん。後で、ちゃんと菓子くれるんだろうな」
「ちゃんとやるよ」
「絶対だからな」
「先に、イタズラな?」
「っ……今日だけだからな。今日は、ちょっとくらい、許してやる……っ」
「はいはい」
 いつまでも、喚き続けそうなゼルクの唇を、そっと俺は自分の口で塞いだ。