■ハロウィン■


「シエル。知ってる? 今日が何の日か」
 俺の部屋へと訪れたラグエルは、唐突にそんなことを言う。
「今日? 今日って何日ですか?」
「人間界は10月31日だよ」
 10月31日……なんの日だろう。
 まったくわからない。
「うーん。もしかしてラグエルの誕生日?」
「違うよ。僕は春生まれだし、日付は知らない」
 俺も、自分の誕生日は知らない。
 だいたい春くらいとか夏くらいとか、ざっくりいつ頃生まれたかは知ってるけれど。
 基本的に日付は意識しないことの方が多い。
「わからないです」
「今日はハロウィンっていうんだよ」
「はろいん……」
「そう。どんな日か教えてあげる」
 そう言って、ラグエルは俺の腕を引きベッドへと座らせる。
 正面にしゃがみ込むと、にっこり笑いながら俺を見上げた。
「シエル。お菓子持ってる?」
「お菓子? 持って無いです」
「お菓子を持って無い子にはいたずらしていい日なんだ」
「……どうして?」
「どうしてって言われても、そういう日なんだよ」
 いまいち理解出来ずにいると、ラグエルは小さく笑って、俺の足を撫で始める。
「だから、ね。するよ。いたずら」
 ゆっくりとラグエルの手が、足の付け根へと移動していき体がゾクリと跳ね上がる。
 ああ、そういういたずらをする気か。
 ラグエルになにかエッチなことをされるのは嫌いじゃない。
 というか好きだ。
 だから、俺は拒まずラグエルを見守る。
「ずいぶん余裕だね」
「……だって、初めてじゃないし」
「でも、今日はいつもと違うよ。ハロウィンだから」
「いたずらするんですか?」
「そう」
「ラグエルはお菓子持ってるんですか?」
「持ってるよ。だから、シエルは僕にいたずら出来ない」
「……はろいんって変な日」
「そうだね」
 ラグエルは、いつもみたいに少し企むような笑みを見せると、俺のズボンと下着を淡々と脱がしていく。
 つい期待してしまい体が熱くなる。
 バサっと広がる翼の音が耳についた。
 俺、また翼出しちゃってるんだ。
 ラグエルもそれに気づいてか、立ち上がり正面から手を伸ばし翼をそっと撫でる。
「あ……」
「……いたずらだから、いつもとは違うことするよ」
「なに……」
 そう言われても、不安より期待の方が大きい。
 ラグエルの指先がすでに曝け出していた俺の股間のモノを優しくなぞっていく。
「はぁ……ラグエル……」
「入れたことないでしょ。ここになにか」
 その場所を示すよう、ラグエルの指先が亀頭に触れた。
「ん……っ」
「ね。入れていい?」
「え……」
 目の前に、金属の棒を見せつけられ、それがなんなのかわからず首を捻る。
 けれど、だいたい想像はついた。
 入れる物なんだろう。
「……入らない」
「入るよ。細いし。ここにはちゃんと穴があるんだから」
 そうは言われても怖くて、心臓がバクバクと音を立てた。
「っ……痛くしないで」
「どうしようかな。それじゃいたずらにならないし」
 ラグエルはまた、俺の前にしゃがみこむと、左手で俺のモノを掴み固定する。
 金属の棒に唾液を絡めて、濡らしてくれているのが視界に入った。
「っあっ……あ、やだっ」
「やだ? それはちょうどよかった。いたずらっぽいね」
 左手の指で鈴口を開くと、金属の先をそっと差し込まれる。
 恐くて動けなかったのに、体がビクビクと震え上がった。
「んぅっ……んっ!」
「そんなにココ硬くしてたら入れにくいよ」
 くすくすと笑いながら、それでもその棒が入りこんでいく。
「ぁっあ、待ってっ……待ってぇ」
「ダメ。痛くないでしょ」
「いたい……っ」
「嘘つき」
 奥の方まで入り込んだ棒を、ゆっくりと抜いたり挿したり。
 尿道を広げられ、内壁を擦られると、すぐにでも射精してしまいそうになる。
 いままで味わったことのない刺激に耐えきれず、ラグエルの左腕を掴み、爪を立てた。
「ぁあっあっ……ぃくっ」
「早いよ」
「だってぇっ……あっ、変、変なのっ」
「なにが?」
「あっあっっ……抜いてぇっ……あっ、ぃく……っ」
「栓しちゃってるのに?」
 コクコクと頷いても、ラグエルが差し込んだ棒を引き抜いてくれる気配は無い。
「やだっあっ、ラグエっ……ふぁあっあぁあっ!!」
 体が大きく跳ね上がり、棒を差し込まれたままイってしまう。
 目を向けると、棒の隙間から白濁の液が溢れ出ていた。
 ラグエルが、少し引き抜くとそれに合わせてドプリと液が漏れる。
「ひぁ……あっ」
「少し萎えて動かしやすくなったよ。中が濡れたせいかな」
 今度はくちゅくちゅと音を立てるよう、掻き回される。
 いやらしい音。
「あっあっ! ……ラグエルっ……だめっ……」
「なに?」
 前ばっかり弄られて、お尻の中が疼く。
 ついソコがヒクついてしまうのを、ラグエルはきっと見逃してはいない。
 視線が突き刺さる。
 それでも、なにも入れてくれない。
「あっあっ……入れて……っ」
「うん?」
「後ろ……俺ん中っ……はぁっ……もぉっ……も、ほしぃ」
「……かわいいね、シエル」
 ラグエルは体を寄せ、耳元に口づけてくれる。
「……でもダメ。今日はいたずらする日だから。気持ちいいセックスはまた今度。ね」
 楽しそうにそう言って、さっきよりも大きな音を立てるよう尿道を掻き回した。
「ひぁあっ! あっあっ、ダメっあっ……出るっ」
「なにが出るの?」
「あ、んっ! 精液出ちゃうっ、またっ、あっ、ゃあっあっ! あぁああっっ!!」
 二度目の吐精は、ラグエルが棒を引き抜いてくれたおかげで、勢いよく噴出する。
 ラグエルの手にたくさんかかって、あまりの勢いと量に恥ずかしくて顔を背けた。
 力が入らず、後ろのベッドへと体を倒す。
「……したかった?」
「ん……」
「でも、気持ちよかったでしょう?」
「……ん」
 頷くと、そっと頬を撫でられラグエルの方を向かされてしまう。
「これじゃいたずらにならないね」
「……なったよ。ラグエルはしてくれないし」
「漏らしちゃうかと思ったんだけど、精液ばっか出して。溜まってた?」
「なっ……そんな、漏らさないしっ」
 あのまま続けられてたらわからないけど。
 ラグエルにクスクス笑われ、顔が熱くなった。
「……はろいんって変な日」
「うん……シエル。手、出してごらん」
「手?」
 寝転がったまま手を差しだすと、ラグエルはポケットから何かを取り出す。
 小さなお菓子だ。
 それを俺の手に握らせてくれた。
「これ……」
「うん。今日1日、シエルが他の人にいたずらされないように。ね」