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同じ種族でありながら、そこには白い翼の者と、黒い翼の者が存在した。
あるとき白い翼の者が、黒い翼の者を見て罵った。
まるで悪魔だと。
種族内での分裂が始まり、次第に黒い翼の者はみな悪魔と呼ばれるようになった。
悪魔同士での結束が生まれ、黒の血の濃度が増す。
翼はより機能的な羽へと進化を遂げた。
それはまるで悪魔の羽そのものであるかのように。
悪魔と呼ばれることに抵抗の無くなった黒の者たちは、白の者を天使と呼んだ。
自らと敵対する者の意を込めて。
彼らは自らの白い翼、黒い羽に誇りを持ち、同じ属性の者から魔術を学んだ。
同じ属性の者が集まる学園へ赴き、同じ属性の者と恋に落ちた。
境界線を残したまま、天使と悪魔はそこに共存していた。
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